建築家への依頼・設計の流れ

設計のご依頼をお考えの方へ

設計事務所への依頼には、「費用が高くなるのではないか」「何から相談すればよいかわからない」「まだ土地も決まっていないけれど相談してよいのだろうか」といった不安をお持ちの方も少なくないと思います。

私たちは、建物の形を考える前に、まずクライアントの価値観や暮らし方、仕事、趣味、将来像を共有することから設計を始めます。最初から明確な要望が揃っている必要はありません。対話を重ねながら、まだ言葉になっていない希望や、その人にとって本当に大切なことを一緒に探していきます。

土地探しからのご相談、既存建物の活用、新築とリノベーションの比較、予算の整理など、計画の入口からサポートしています。建築は完成した建物だけでなく、そこに至るまでの判断の積み重ねによってつくられるものです。下記では、標準的な住宅を例に、相談から竣工後までの流れをご紹介します。

Step 01 ご相談(無料)
私たちの仕事は、本格的に図面を描き始める前に、クライアントが漠然と思い描いている希望を整理し、計画の可能性を広げることから始まります。

まずは、お電話またはメールでお問い合わせください。打ち合わせ日を調整し、事務所にてご希望や現在の状況をお伺いします。

ヒアリングでは、部屋数や面積といった条件だけでなく、どのような時間を大切にしたいのか、家族がどのように過ごしているのか、今の住まいで感じている不便や心地よさなどについてもお話を伺います。こうした対話から、要望の奥にある価値観や生活の輪郭を共有していきます。

同時に、私たちの建築に対する考え方や過去の作品、設計の進め方についてもご説明します。建築家との家づくりは長い時間を共有する仕事ですので、設計内容だけでなく、考え方や相性を知っていただく機会として大切にしています。

 土地・物件探しからのご相談も承っております。
土地は価格や広さだけで判断できるものではありません。接道、高低差、方位、周辺環境、法規、擁壁、地盤、景観条例などによって、建てられる建物や必要となる工事費は大きく変わります。

購入前の段階から一緒に敷地を見ることで、その土地にどのような建築が可能か、造成や外構まで含めてどの程度の費用が想定されるかを考えることができます。一般的には難しいとされる敷地でも、クライアントの暮らし方と設計方法が合えば、その条件が建築の個性になる場合もあります。

Step 02 ファーストプラン(無料)
ファーストプランは、単に最初の間取りを提示するためのものではありません。ヒアリングや敷地調査をもとに、クライアント自身がまだ想像していなかった暮らし方や空間の可能性を提示し、建築に対する価値観を広げるための提案だと考えています。

私たちは、長く使われ、時間とともに価値を深めていく建物を目指しています。そのため、現在の要望だけをそのまま形にするのではなく、家族構成や働き方の変化、地域との関係、将来の改修や使い方の変化まで含めて考えます。

既に敷地をお持ちの場合は、敷地条件とヒアリング内容を重ね合わせながら提案を行います。土地を購入する前の場合でも、可能な範囲で建築ボリュームや配置の方向性を検討し、その土地を選ぶ判断材料となる簡易的な提案を行います。

この段階では、一つの完成形を決めることよりも、「どのような建築が自分たちに合うのか」を一緒に考え始めることを大切にしています。

Step 03 基本設計(全業務報酬の30%)
ファーストプランで見えてきた方向性をもとに、建物の骨格を具体的にしていきます。

基本設計は、建築全体の質を決める重要な工程です。間取りだけでなく、建物の配置、構造、光や風の入り方、外部とのつながり、動線、素材、収納、設備、将来の可変性などを総合的に検討します。

約二週間に一度を目安に打ち合わせを行い、図面、模型、CGなどを使いながら、できるだけ立体的に空間を共有します。設計者が一方的に答えを提示するのではなく、提案と対話を繰り返しながら、クライアント自身も「なぜこの形が良いのか」を理解し、納得して選択できることを大切にしています。

この時期には、同時に予算とのバランスも確認していきます。面積、構造、仕上げ、設備などの優先順位を整理し、実現可能性を確認しながら設計を深めます。

スケジュールの目安として、30坪以下の住宅の場合は3ヶ月程度を想定していますが、敷地条件や計画内容によって異なります。十分に方向性を共有したうえで、次の実施設計へ進みます。

Step 04 実施設計(全業務報酬の30%)
基本設計で決定した建築を、実際に施工できる図面へ落とし込んでいきます。

構造設計者や設備設計者、その他必要となる専門家と意見を交換しながら、構造、断熱、防水、設備、照明、建具、家具、仕上げなど、細部まで検討します。基本設計でつくった空間の魅力を失わず、施工性や耐久性、メンテナンス性まで含めて建築として成立させる工程です。

必要に応じてクライアントとも打ち合わせを行い、設備機器、素材、色、収納などの細かな内容を確認していきます。ここで作成する実施設計図は、施工会社が見積を行い、現場で建築をつくるための重要な共通言語になります。

30坪以下の住宅の場合、実施設計には3ヶ月程度を目安としています。図面一式の内容をご説明し、ご理解いただいたうえで見積・施工者選定へ進みます。

 見積・法規
実施設計と並行して、建築確認申請などの法的な手続きと、施工会社による見積を進めます。(確認申請手数料等は別途となります。)

施工会社は、計画内容、構造、地域、工事規模などに応じて選定し、必要に応じて2~3社程度へ相見積を依頼します。

見積が予算を超えた場合には、単純に建築の魅力を削るのではなく、設計意図を残しながら、材料、施工方法、設備、面積などを再検討します。どこに費用をかけ、どこを合理化するのかをクライアントと共有しながら、適正な工事費へ調整していきます。

施工会社とは完成後も長い付き合いになります。価格だけでなく、技術力、施工実績、現場での対応、クライアントとの相性なども含めて総合的に判断します。

Step 05 工事監理(全業務報酬の30%)
工事が始まると、設計図通りに施工されているかを確認しながら、現場で施工会社と協議を重ねます。

建築は一品生産であり、図面だけでは完全に決めきれないこともあります。既存建物の状態、地盤、施工精度、素材の個体差など、現場で初めて分かる条件に対して、設計意図を損なわない方法を施工者と検討します。

工事監理は、単に図面と現場を照合するだけではありません。設計段階で考えてきた空間や性能を、実際の建築として成立させるための最後の設計作業でもあります。

必要に応じてクライアントにも現場打ち合わせへ参加していただき、実際の空間を確認しながら、素材や納まりなどを共有します。

30坪以下の住宅の場合、工期は7ヶ月程度を一つの目安としていますが、構造や敷地条件、施工内容によって異なります。

Step 06 竣工・引渡し(全業務報酬の10%)
建物の完成に先立ち、行政による検査、施工会社の検査、私たちの監理検査、クライアントによる施主検査などを行います。必要な修正や確認を終えた後、設備機器の使用方法やメンテナンスについて説明を受け、建物をお引渡しします。

しかし、建築は引渡しで終わるものではありません。実際に暮らし始め、季節を経験することで初めて分かることもあります。

竣工から1年後には、原則として施工会社が行う1年点検に立ち会い、建具、仕上げ、設備などの状態を確認します。必要な修繕内容を施工者と共有し、建物が長く使われていくためのサポートを行います。

私たちは、設計を「建物を完成させる仕事」だけではなく、クライアントと一緒にその場所の未来を考える仕事だと捉えています。時間とともに暮らしが変化しても、建築がそれを受け止めながら使い続けられることを目指しています。

設計料について

新築の場合
総工事費(建築工事費+外構工事費)の10%で、250万円以上を目安とさせていただきます。

リノベーションの場合
総工事費(建築工事費+外構工事費)の10%で、150万円以上を目安とさせていただきます。

設計料には、単に図面を作成する作業だけでなく、ヒアリング、敷地調査、各種検討、打ち合わせ、見積調整、施工会社との協議、工事監理など、建築が完成するまでの一連の設計業務が含まれます。

建築条件や規模、用途によって必要となる業務内容は異なりますので、具体的な計画内容をお伺いしたうえで、業務範囲と設計料についてご説明します。

※上記の金額は税抜きの金額です。
※確認申請・地盤調査費などの手数料は別途といたします。
※リノベーションの構造費用は別途といたします。