奈良県生駒市の木造注文住宅「壱分の家」

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奈良県生駒市の木造注文住宅「壱分の家」

 このプロジェクトは、菜園を夫婦共通の趣味とする家族からの依頼を受け、土地探しから始まった。大阪市内へ勤務する夫と、自宅でタイ・チェンマイ式マッサージのサロンを営む妻、そして二人の子どもたち。都市郊外に移り住み、庭と室内が身近につながり、植物を育てながら家族が暮らすことのできる住まいが求められた。

計画において中心となったのは、庭と室内の「あいだ」にある縁側である。
一般的な縁側のように建物の一部として設けるのではなく、1階と2階の外周に縁側のような領域を重ね、室内と庭の間に厚みを持たせた。室内から直接庭へ出るのではなく、一度この場所を介することで、内と外は明確に分かれることなく緩やかにつながっていく。

1階の縁側は、庭へ出るための通路であると同時に、腰掛けたり、子どもが遊んだり、菜園の作業をしたり、家族が自然と集まる場所となる。また、住宅へのアプローチもこの縁側を介することで、訪れる人も庭や家族の暮らしに触れながら建物へと入っていく。

庭には季節ごとの野菜や植物が育ち、それらは建物の前にもう一つの境界をつくる。夏には植物が日射や周囲からの視線を和らげ、季節によって密度や表情を変えながら、室内環境にも作用する。建築によって内と外を分けるのではなく、縁側や植栽を重ねることで、その境界を緩やかな領域としてつくることを考えた。

また、この住宅には家族の暮らしだけでなく、自宅サロンという仕事の場が共存している。菜園や縁側を介して住まいが地域へと緩やかに開かれることで、家族、サロンを訪れる人、近隣の人々の関係もまた、この場所を通して生まれていく。

竣工によって完成する住宅ではなく、植物が育ち子どもが成長し暮らし方が変化することで、建築の表情も少しずつ変わっていく。

庭と暮らしの間につくられた縁側を介して、家族と自然、仕事と生活、住宅と地域が緩やかにつながり、それぞれの関係が時間とともに育っていく住まいを目指した。

奈良県生駒市の木造注文住宅「壱分の家」

奈良県生駒市の木造注文住宅「壱分の家」

所在地:奈良県生駒市
構造規模:木造  地上2階建て
延床面積:91.52㎡
竣工:2016年11月
施工:京都建設株式会社
撮影:Asano Takeshi Design