
京都市右京区、嵐山にほど近い住宅地に建つ木造2階建ての住宅である。周辺には竹林や渡月橋など京都を代表する景観が広がり、敷地からも遠くに嵐山の山並みを望むことができる。一方、計画地そのものは区画整理された新しい住宅地であり、周辺には均質な宅地が広がっていた。
そこで本計画では、敷地の中だけで完結した住宅をつくるのではなく、遠景や空、庭といった外部環境を室内へ引き込みながら、家の中にさまざまな居場所をつくることを考えた。
平面は、各室を一直線に並べるのではなく、少しずつ位置をずらしながら連続させる雁行した構成としている。このずれによって空間の先が一度に見通せるのではなく、移動するたびに視線の方向や奥行きが変化し、その節々に小さな「溜まり」が生まれる。
それぞれの溜まりには、空間の広さや天井高さ、過ごし方に応じて異なる大きさや高さの窓を配置した。窓を単に採光や通風のための開口として設けるのではなく、庭や空、遠くの山並みなど、その場所から見える外部との関係を調整することで、人が自然と立ち止まり、佇むことのできる場所をつくっている。
住宅の中心となるLDKには大きな吹抜けを設け、1階と2階を緩やかにつないだ。吹抜けに面して階段や2階の廊下を配置することで、上下階に分かれていても家族の視線や気配が行き交う。梁や屋根架構を室内に現し、異なる天井高さを組み合わせることで、一つながりの空間の中にも場所ごとのスケールを与えている。
LDKに隣接する和室についても、建具を開くことで一体的に使うことができ、閉じれば独立した一室となる。広さや用途を固定するのではなく、日常の過ごし方に応じて空間同士の関係を変えられる構成とした。
素材は、白い壁を背景に木の柱・梁・床を現し、階段や手摺には細い黒色のスチールを用いることで、木造住宅の温かさを残しながら、空間全体を簡潔に整えている。
部屋をつくることよりも、部屋と部屋の「あいだ」に生まれる場所をつくる。
雁行する平面、異なる天井高さ、吹抜け、窓によって内外と上下階の関係を少しずつずらしながら重ねることで、住む人がその時々に心地よい場所を見つけ、家のさまざまな場所に佇むことのできる住宅を目指した。







所在地:京都府右京区
構造規模:木造 地上2階建て
延床面積:131.95㎡
竣工:2019年2月
施工:株式会社竹内工務店
撮影:岡田大次郎

