
私が大学生時代に教わっていた、教授の追悼特別展が滋賀県の成安造形大学で行われていた。展覧会の題名は「命とつながる藁と土の家づくり」である。この大学で学んだ者からすると、慣れ親しんだ言葉である。
近江に生息するヨシや、藁と土を使ったストローベールなど、サスティナブルな建築材料を使った家づくりの良さを、4年間みっちりと教えて頂いたので、この言葉を聞くとその記憶が蘇る。

その他にも、里山におけるアノニマスな美から人間の命とはなど。簡単には答えが見つからない、建築を越えた社会学や文化人類学を止揚する内容は、今後、世界で更に注目され続けられるであろう。
ここに謹んで哀悼の意を表しますとともに、故人のご冥福をお祈りいたします。
藁や土のような自然素材は、見た目の素朴さだけでなく、地域で調達できること、施工に人の手が関われること、時間とともに変化することに価値がある。材料の性能を数値で比較するだけでは見えない、暮らしと生産のつながりを感じさせる。
現代の住宅では、工業製品の安定性も重要であり、自然素材だけで全てを解決する必要はない。どこに地域素材を使い、どこに現代的な技術を組み合わせるかを考えることが、環境と暮らしの双方に無理のない建築につながる。