京都・狭小別荘の住宅設計|高野川の別荘 新築工事

House, Work

 本計画は、京都市左京区・高野川沿いに位置する、約100㎡の敷地に建つ住宅である。敷地は特別修景地区に指定されており、建築面積や緑化率、外観意匠に対して厳しい制限が課されていた。そのため、限られた建築可能ボリュームの中で、実質的な居住面積を最大 限に確保しながら、視覚的・感覚的な広がりを獲得することが求められた。

周辺環境との連続性を生み出すため、構造そのものを空間構成の要素として扱っている 。1階はRC造とし、高野川へ向かって大きく開く開口部を設けることで、内外の床が連続する構成とした。壁量を抑え、半屋外的な領域を介して、街並みや河川風景を室内へ取り込む計画としている。

2階・3階は木造とし、床構造には組梁を用い、屋根架構には鉄骨の棟木を採用することで、木架構を補完している。異なる素材の特性を活かしながら、RC 鉄・木が互いに補完し合う構成とすることで、構造と空間を一体的に成立させ空間の伸びやかさと構造的合理性 を同時に獲得している。

西側に広がる高野川や松ヶ崎丘陵との関係性も、この住宅の重要な主題である。1階では室内外が連続する床と大開口によって風景を取り込み、上階では張り出し窓を設けることで、河川や山並みに向かって腰掛けられる居場所をつくった。また、入側縁や広縁といった、日本建築における“中間領域”を現代的に再解釈し、内部と外部のあいだに多様な滞在空間を計画している。

京都の町家や数寄屋建築に見られる、軒下や縁側を介した内外の曖昧な関係性を参照しながら、本計画ではそれらを単なる意匠的引用としてではなく、現代都市住宅における環境応答の仕組みとして再構成した。限られた敷地条件の中で、風・光・視線・風景を受け止めることで、形態ではなく空間体験として目指した。

所在地:京都市左京区   
構造規模:混構造  地上3階建て
延床面積:110㎡     
竣工:2026年4月 
構造:S3 Associates Inc.    
施工:ACE Co., Ltd.     
撮影:松尾勝司